旅館業許可、特区民泊認定(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業)に続き新たに民泊を運営するための手段として、「住宅宿泊事業法」という法律が2018年6月15日に施行されました。

この住宅宿泊事業法は別名「民泊新法」と呼ばれ、従来のように許可や認定ではなく届出をすることにより許可番号(民泊新法の場合は届出番号と呼ばれます)を取得することが可能になります。

民泊新法は許可が出るまでのスピードがはやい

この新たな制度である民泊新法の特徴として、特筆すべきは届出申請から届出番号が出されるまでのスピードが早いことが挙げられます。

例えば、大阪市内(地域によって手順は変わります)の場合。
特区民泊認定申請(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業)であれば、大阪市の保健所へ認定申請を行い、その後保健所から申請した物件へ検査が行われ、検査終了からおよそ14営業日で問題なければ認定が下ります。

14営業日と聞くと2週間くらいかと思いがちですが、土日祝を除くので実際は3週間から長ければ4週間ほどかかることになります。

また、大阪市内で旅館業許可を取得しようとした場合は、まず建築計画の届出→旅館業許可の申請という2段階の手順を踏む必要があり、全てを合わせて4ヶ月~半年ほどの時間が必要となります。

これに対して民泊新法の届出は、申請から許可番号が出るまでおよそ1週間です。
上記2種類の民泊運営に必要な許可・認定と比較して、かなり短い期間で合法民泊の運営が可能となるのがわかるでしょう。

自己所有の物件であれば、許可取得まである程度時間がかかっても耐えられるかもわかりません。しかし物件を賃貸して民泊を運営する場合、許可を取得するまで民泊運営は行えないため(違法民泊となります)、許可取得までにかかる期間は空家賃が大きくのしかかってきます。

この問題の解決策として、民泊新法(住宅宿泊事業法)の届出という制度は大いに利用価値があります。

デメリット

2018年6月に民泊新法が施行され、特区民泊や旅館業許可に比べて比較的手続きが容易なこともあり、これで一気に合法民泊が広がるという期待がありましたが、現実にはそこまで普及しませんでした。

なぜなら、民泊新法の届出では年間で180日までしかゲストを宿泊させてはいけないという大きなデメリットがあるからです。民泊運営していく際に1年間のうち半年しか稼働させられないのは、ビジネスとして成り立たせるには相当困難な条件です。

なお、地域によってはこの180日がさらに制限されて短くなっていることもあります。

本来、この住宅宿泊事業法(民泊新法)はその名のとおり普通に人が居住している「住宅」を念頭においた法律です。そのため旅館業許可のようにビジネス利用を想定されているわけではありません。

ハイブリッド型をおすすめ

では、民泊運営をするにあたり民泊新法の届出は全く使えないものなのでしょうか?

そんなことはありません。
何より届出より1週間で許可番号が出るというそのスピードは素晴らしいものです。

まとめます。
旅館業許可や特区民泊認定のメリットは年間通じての営業期間に制限がないこと。
ただし、許認可取得までそれなりの時間がかかります。

民泊新法のメリットは許可番号(届出番号)が出るまでのスピードが早いこと。
ただし、年間で180日までしか営業出来ません。

であれば、それぞれのメリットとデメリットをうまく組み合わせればいいわけです。

つまり、まず民泊新法の届出を行い1週間で許可番号(届出番号)を取得する、そして合法的に民泊を運営しながらその間(180日間)に特区民泊もしくは旅館業の許可を取得する、という方法です。

現状のどんどん取り締まりが厳しくなっていく中、法令に違反したヤミ民泊を続けながら許可取得をするのは危険すぎます。

当行政書士法人では、民泊新法の届出で一刻も早く許可を取得し、その後その他の許認可へ切り替えていくハイブリッド方式での許可取得方法をおすすめしています。