国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業
通常の一戸建住宅やマンションなどにおいて、有料で人を宿泊させる場合、これまでは旅館業の許可が必要でした。許可を得ずに行う民泊事業は違法であり、罰則の対象となります。
ただ旅館業許可申請はそもそもの要件も厳しく、許可を取得するまでに非常に手がかかります。そこで、民泊需要が高まる時代に即し、もっと簡易に民泊事業が行えるようにというニーズが高まったこともあり、新しい制度「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」、通称「特区民泊」という制度が新設されました。
これは、従来の旅館業の特例制度として特区(特別区)内において、宿泊事業を行えるようにしたものです。
特区とは国家戦略特区の略であり、第2次安倍政権が進める新しい掲示特別区域構想のことで、2013年12月に成立した「国家戦略特別区域法」によって指定されたエリアを指します。
国家戦略特区では、その区域内においてこれまでの規制が実験的に大幅に緩和されることが認められるようになりました。例えばこの民泊の話のように、旅館業法の規定が緩和された特区民泊という制度が利用できるようになります。
特区民泊の特徴
旅館業許可が建物の用途を「住宅」から「旅館」へ変更するのに対し、特区民泊の場合は、用途は住宅のままで特例として宿泊業を営んでも良いとされます。そのため、旅館業であれば必要とされる要件のいくつかが不要となります。
その分、旅館業許可に比べれば認定を受けやすくなると言えるでしょう。
ただ逆に、旅館業許可では必要とされない部屋の面積に関する要件(壁芯25㎡以上である事が必要)、またいくつか備品の設置が必須、周辺住民への説明が必要など、場合によっては旅館業より要件が厳しくなる部分もあります。
加えて、宿泊の契約は最低2泊3日以上からでなければいけません。
とは言っても、総合的に見ると旅館業許可の申請に比べて手続きに必要な書類、(大阪市に限れば)申請にかかる時間は、特区民泊認定申請のほうが少なく済みます。
特区民泊が可能な地域
※2018/7現在での大阪府に限定した話です
特区民泊はその正式名称(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業)の通り、国家戦略特別区の中でのみ、民泊の運営を行うことができます。
実施地域は、
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市街化区域の共同住宅・戸建住宅が建築可能地域な「全域」で実施。
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上記のうち、法令、市町村の条例・都市計画により「ホテル・旅館を建築できない地域」を除く地域に限る。(建築基準法の用途地域で住居専用地域、第1種住居地域(床面積3000平方メートル超)、工業地域、市町村の条例・都市計画でホテル建築禁止している地域での実施はできません。)
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現時点では実施しない。
の3区分に分かれてます。
2018/7現在でそれぞれの地域を分類すると下記のようになります。
市街化区域のうち工業専用地域を除く全地域で実施
守口市、泉佐野市、松原市、大東市、柏原市、能勢町、忠岡町
市街化区域のうちホテル・旅館の建築が可能な地域(第1種住居地域にあっては、床面積3,000㎡以下)において実施
岸和田市、池田市、泉大津市、貝塚市、茨木市、富田林市、寝屋川市、河内長野市、和泉市、箕面市、羽曳野市、門真市、摂津市、高石市、藤井寺市、泉南市、四條畷市、大阪狭山市、阪南市、島本町、豊能町、熊取町、田尻町、岬町、太子町、河南町、千早赤阪村
現時点で実施しない
吹田市、交野市
独自の条例が必要
大阪市・堺市・高槻市・豊中市・枚方市・東大阪市
保健所設置市では、その自治体にある保健所が特区民泊の申請を管轄します。
上記6つの市は、保健所設置市であり、それぞれの市で独自の条例を作らなければ特区民泊を実施することができません。
上記6つの保健所設置市のなかで、特区民泊(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の認定申請)を行えるのは現時点で大阪市のみです。
これから民泊はもっと広がる
以前は松原市など特区民泊を実施しないとしていた市ももっと多くありましたが、現時点で明確に実施しないとしているのは吹田市、交野市のみとなっています。
(大阪市以外の保健所設置市は除く)
しかし、特区民泊の認定申請が可能であるとは言っても、実際ほとんどの申請は大阪市に集中しています。その他の地域での特区民泊の申請は数えるほどと言ってもいいくらいです。
これは合法的に民泊が可能になったからといって、その地域でちゃんと集客ができるのか?利益を出せるのか?といった問題があるからです。これはまた許可の取得とは別問題。
ただ今後、南大阪が世界遺産(百舌鳥・古市古墳群)の登録を受ける可能性も高く、これまで注目を浴びていなかった地域で旅行客が集まる可能性は大いにあります。
弊行政書士法人では、代表の榎田が過去数十件の旅館業許可・特区民泊認定申請を手掛けており、特区民泊を行えない地域での旅館業許可取得の実績もあります。
特区民泊の認定申請には、現地調査・図面の作成・消防工事・消防設備設置工事・消防署の検査・近隣住民への説明・保健所検査・廃棄物処理に関する環境局との打合せ、など非常に多くの手順が必要です。
当行政書士法人では、これらの手続きをフルサポート可能です。